柴田隆幸さん(札幌市乗善寺門徒)の『満ちる恩』が、本願寺出版社より刊行されました。著者のお名前をご記憶の方もいらっしゃると思いますが、平成14年度15年度と、法語カレンダーにイラストと法語を手がけられた方であります。思い出していただけましたか。
隆幸さんは、生まれつき脳性麻痺の不自由な身体ではありますが、御法義の篤い御両親に育てられ、2歳半の頃から聞法の縁を持ち、それから今日まで、寺院法座にはほとんど欠かすことなく聴聞を続けておられるということです。
左手に筆を持ち、仕事に打ち込む隆幸さんの写真が、カレンダーの最終ページに載っておりますが、すべての作品は、浄土真宗の信心のよろこびに支えられた作風であります。
イラスト画は、豊かな色彩の草花などの自然、そして親鸞聖人や三蔵法師の事跡などなど、ページをめくりゆくほどに、心うたれ、語りかけてくる無言の言葉に圧倒されます。
次に法語のいくつかを紹介いたしますが、隆幸さんは小学生の頃から、短歌や俳句などの短詩型に親しんでこられたと申します。そして、長い間のご聴聞の中から生まれた法語には、汲みつくしてもやまぬ深い味わいがあり、繰り返し読まされてしまいます。
★仕事する手にも足にも佛ありし
★ありがたき闇のまんまが明るくて
★欲も出る怒りも出ずるこの口にようこそようこそナンマンダ
★咲くも良し散るも良しとてみ手の中
音数律の基本であるという5音・7音も調和的で、温かく、やさしく、韻律感をしっかりと捉えていて、さすがだと思います。
なお、中陰カレンダー『七日七日のおつとめ』(札幌正信会発行)にも、隆幸さんの法語とイラストが使われております。