寺史に残るべく儀式「帰敬式」が3月29日本堂にて行われました。この儀式は本来、受式する本人が、京都本願寺(本山)に上山し、御門主様より直接頂く儀式でありますが、この度、本願寺の規約が改正され、一般寺院でも御認許いただければ、行うことが出来るようになりました。眞願寺では、ある御門徒から「生きている内に、院号・法名を何とかいただきたい」という御要望を2年前より受けて、身体的にご本山に上山することが無理であることを理由に、特例処置の帰敬式をご本山に申請して御認許をいただき、行われることになりました。その厳粛な儀式の流れをレポートしました。
開式
5分前、静寂とした本堂に受式者9名が緊張した面持ちで一列に整列し時を待ちました。 会係(当別町勝円寺住職様と当寺住職)がご案内頂し、御導師が御入堂され、本尊正面で焼香され、御導師にあわせ、一同合掌礼拝。
三帰依文
合掌したまま「三帰依文(さんきえもん)」を御導師に続き復唱します。
「南無帰依佛・南無帰依法・南無帰依僧」
披露
御導師が外陣の席に着かれ、「~さん~さん、おかみそりをただきます」と会係より受式者の披露があります。
おかみそり
御導師が御剃刀をもたれ、受式者の後ろに回られ、一人ひとりの頭に三度おかみそりをあてられました。この儀式がいわゆる「おかみそり」です。この時の御導師のお袖持ちを住職がされました。
法名拝受
御導師より受式者の代表者へ「法名」が受与されました。
帰敬文
受式者の代表者が「帰敬文」を拝読しました。ここでは「帰敬文」を全文ご紹介いたします。
ただいま 佛祖の御前で帰敬をうけ 浄土真宗の門徒としての自覚を あらたにいたしました。宗祖親鸞聖人の お流れをくみ 阿弥陀如来のご本願に救われることは 何ものにもかえがたい喜びであります。
この上は ますます聞法にいそしみ 真宗念佛者の本分をつくし 報恩謝徳につとめます。
ご教諭
最後に御導師より「ご教諭」をいただきました。
「凡夫であることから一歩もぬけだすことの出来ない私であればこそ、私の願い、たのみとしてではなく、阿弥陀様自らが生きとしいくる全てを救わずにはおかないという願いをたてて下さいました。そのお慈悲の手の中につかみ取って頂いている私であり、お浄土への往生、成佛まちがいないと、おやくそくしていただいています。
本日を限りとし、念佛一筋の日暮らしがはじまります。迷信や俗信にまどわされず、生かされていることを喜び、手をあわせる心を忘れずに、お念佛とともの生活を送って下さい(中略)」
閉式
御教諭をいただいてから御導師にあわせて合掌礼拝をし、御導師が退出され、式は終了致します。終了後、ご本山のかたより、それぞれに法名をいただきました。
この度受式され、法名を拝受されましたのは、小田トキさん、中澤義雄さん、中澤百合さん、土蔵ツヤさん、森瀬茂子さん、河野正春さん、河野ハツさん、館脇ふみさん、浅井悦子さんの9名です。おめでとうございました。
約30分の儀式ではありましたが、受式された方々は、感動の中で、門徒としての自覚を新たになさっておられました。法名は死んだときにもらう名前ではなく、名実ともに門徒とならさせていただく大切な帰敬式を受け頂戴する尊い名前で、み佛のお弟子であるあかしの名前です。この度受式した方には、ご教諭にもございましたが、この後は、お念佛とともの人生を送ることが大切です。どうぞ聞法にはげみ、一度でもおおく眞願寺の本堂にご参詣下さい。
眞願寺では、また何かのご縁の時に「帰敬式」を行いたいと考えていますが、出来うれば、元気なうちに、京都本願寺に上山され、受式なさることをおすすめ致します。
本願寺では毎日帰敬式が行われていますし、何かのご法要の都度、特別に地方でも行われています。受式費用は冥加金として1万円となっています。ご希望される方は、住職までお問い合わせ下さい。