「人道的復興支援」の言葉のもと、毎日テロによる死者が絶えないイラクへ、武装した自衛隊の派遣が始まった。雪の北海道旭川で「日の丸」の小旗が振られる中、イラクへ赴く隊員達が、出発した。
その光景をテレビで見た私は、50余年前の「日本」を想像した。学徒動員・「お国のために命をささげ…」そんな時代だったのだろう。この出発していかれた、自衛隊隊員は、どんな思いで日本を後にしたのだろう。そして、自分のいのちを守るためには、他のいのちをもうばう覚悟があるのだろうか。「人道的復興支援」の「人道」とは、その敬意がどうであれ、人のいのちを奪うことにもなる。そうともいえるのでは…
「平和」を願い国際協力や日米同盟、イラクの復興だけが表に表れているが、その裏側に存在しうる事実をもっと見つめるべきではないか。機関銃をもっていがみ合い、殺し合いをしても、真の平和は決して訪れることはないだろう。現代日本はとても幸せの世の中に見えるが、50年以上前に亡くなって逝かれた多くの戦没者の家族は、今日も悲しみの中で日々を過ごしている。その人達には、自衛隊の出発はどう見えたのだろう。
銃をすてて、お互いの手を握り合い、お互いをみとめあう。そんな時代を願い、今私に出来ることを考えていきたい。宗祖親鸞聖人が残されたこの言葉を思い出す。「世の中安穏なれ、仏法ひろまれ」と。
平成16年3月1日