坊守から・令和5年9月

投稿日:2023年9月20日


 「思い出の食べ物はありますか?」
 私は幼い頃から大晦日に母が作ってくれる茶碗蒸しと答えるでしょう。
 今は料理をしなくなりましたが、孫達もおばあちゃんの茶碗蒸しは大好きなので、12月31日はいまだにそれだけはお願いしています。
 「もう出来ないから交代。味がどうかな。」とブツブツ言いながら作ってくれています。
 お寺の大晦日は、除夜の鐘や元旦会の準備で大忙し。ゆっくりすることもなく夜になり、夕ご飯の前に、家族そろってご本堂とお内仏でおつとめします。その後恒例の茶碗蒸しやお蕎麦をいただきます。ちょっとした時間ですがホッとするひとときです。幼い頃の父のいた食卓を思い出し、今も変わっていないそのことに不思議な気持ちになりました。いつかは私が作るようになるでしょう。変わりゆく中ではありますが、つながることの大切さを次へと伝えていきたいです。
 あっというまに長月(ながつき)です。実りの秋は美味しくて楽しい季節ですね。中庭の秋明菊が咲き、ご本堂や納骨堂もようやく涼しくなりました。皆さまどうぞご参拝ください。