親鸞聖人の妻恵信尼公の生涯

投稿日:2002年8月1日

今回は「親鸞聖人の妻恵信尼公の生涯」大谷嬉子著を紹介させていただきます。

著者大谷嬉子前裏方さまは、平成12年ご往生されましたが、生前は宗門の発展のためにご指導ご尽力され、特に、今日の宗門にとりまして最大の組織であります、佛教婦人会総連盟を再結成され、総裁に就任されました。その間、親鸞聖人の妻の恵信尼公の顕彰運動を始められ、各教区へ精力的に出向されるなど、輝かしい足跡を残されました。

親鸞聖人の内室につきましては、打ち破り難い玉日姫伝説というものがありますが、著者は「歴史を歩く」ことと、恵信尼公の残された手紙の現代語訳によって、確固とした内室の存在を、この著書によって証明されております。

恵信尼公の一生は、親鸞聖人との結婚に始まって、越後から常陸へ、そして京都、晩年は聖人と別居しての再びの越後と、み佛の慈悲の光に包まれて、力強く生きられました。著者はゆかりの地を実際に現地(現在の新潟県、長野県、栃木県、茨城県)を訪れて、その研究の成果を、分かりやすく、しかも興味深く述べられております。また、巻末には末娘覚信尼にあてた十通の手紙の現代語訳が載せてあります。

まだまだ深い雪の中ではありますが、森の木の芽はふくらみはじめております。春の光を窓辺に受けて、是非とも本書を手にとっていただきたいと、お奨めいたします。