こんにちは!法務員の稲垣です! 皆さんいかがお過ごしですか?
大の「イヌ嫌い」だったお寿司屋さんの店主が、コロッと天地がひっくり返ったように大の「イヌ好き」になった、というお話しを聞きました。教えてくれたのは店主の奥さんです。
「あの人、いっつもハナにはデレデレしてました。オレとハナのコミュニケーションだっっ!!とか言ってね」。お客さんが帰ると、店じまいをして大好きなお酒を飲みながらハナちゃんと戯れる。
綺麗な目をした柴犬のハナちゃんが家にやってきてからは「ウチで一番の美人だ」と店主が豪語するくらい、ベタ惚れだったそうです。
ハナちゃんとの散歩は決まって朝と夕方。夜中に起こされることもしばしばあり、そんな時は、奥さんがハナちゃんを散歩に連れて行きます。しかし、この日だけは違いました。
「うちの主人、いつもなら夜中の散歩は絶対ついて来ないんだけど、不思議とその日は『おう、いくかぁ』って、ついてきてくれてね。ハナ、とっても喜んだんですよ。その数日後に主人が亡くなったんです」。奥さんが当時のことをゆっくりと語ってくれました。
今年の5月、ハナちゃんは16歳の生涯を終え、靜かに目を閉じました。毎月店主の御命日にお参りに行くと必ず元気に迎えてくれたハナちゃん。年々体力が落ちていき、最後は娘さんの腕の中で息を引き取ったそうです。
街の人達に30年以上愛され続けた、お寿司屋さん。今は営業されていませんが、1階の店の雰囲気は当時のまま残っています。カウンターや座敷も、そのまま。そこにたくさん写真が飾ってあり、特に目を引くのが、店主とハナちゃんのツーショット写真。嬉しそうな店主の顔と、綺麗で真っ直ぐな目をしたハナちゃんの顔。その写真を眺めながら、2階のお仏壇へ。ロウソクに火を灯し、お念仏。決して消えない火が、私の心に灯ります。
法務員 稻垣 心平(釋 等観)