年忌法要は誰のため?

投稿日:1998年3月1日

年忌法要は、亡くなって一年後に勤めるのが一周忌、二年後が三回忌、六年後が七回忌で、以後十三回忌、十七回忌、……と別表の通り勤められるのが一般的です。ただ二十五回忌のところは、二十三回忌と二十七回忌に勤める場合もあります。法要を勤める年のかぞえ方は、三回忌以降「A回忌は亡くなって(A-1)年後」と覚えておけばよいでしょう。

ところで、この法事、亡き人を縁に勤められることから、”亡き人のため”に勤めるものと思っている人がいます。「故人の霊魂(たましい)を慰めるためにお経を上げる」とか「法事を勤めることによってご先祖を安心させてあげる」といった認識の、いわゆる追善供養の意味合いです。

しかし、亡き人は如来様のお救いによって、すでにお浄土に参られているのです。したがって、亡き人のために善をふり向ける(追善)必要もなければ、またそんなことができる”りっぱな”私でもないでしょう。

法事というのは「仏法の行事」ということで、この仏法は、ほかでもない”私自身のため”のものです。すなわち、法事の場に参集した家族、縁者の一人ひとりが仏法を自分のこととして聞き味わってこそ、意義あるものとなるのです。亡き人を偲びつつこの私が仏法を聞く行事――これが法事です。

お浄土に生まれ仏となられた故人を偲ぶ時、故人は「いつでもどこでも、どんなことがあっても、けっして裏切られることのない如来様を信じて、手を合わす人生を送ってくれ。そして私のいるお浄土に生まれてきてくれ」と、そう願われていることでしょう。その願いを聞けば、亡き人が私のために仏縁を結んで下さり、深めさせて下さるのが法事であったと気づかされます。なお、法事は非日常的な行事ですが、これを縁に、仏法を日常の中に生かしていくことが大切です。
法要の御予定は早めにお寺までご相談ください。