先日、寺務所でパソコンを使い仕事をしていました。疲れたのでお茶でもと思い居間に行くと、坊守もパソコンで仕事をしていました。母を捜すと母もパソコンで写真の整理、息子もパソコンで音楽の取り込み、娘はテレビ・・。
同じ家にいながら、会話もせずひたすら個々にパソコンなどの画面を見ながら仕事をしている。その姿を見たときに、本当に淋しい思いになりました。家族ってなんだっけ?人が共同に生活する場所だったっけ・・?
最近の一般家庭では、それぞれ忙しく生活をしているので、会話どころかそろって食事もしない家が多くなっているようです。「今日学校はどうだったの~?今日こんな人が訪ねてきてね~。帰りの電車でさぁ~。あそこのスーパーで隣の奥さんにあったらねぇ~・・」。このようなたわいもない会話から、人と人とに結ばれる『縁』が出来て、お互いにお互いを認め合い、信頼と絆がうまれ、生活の中で助け合いゆずり合っていけるようになるのではないかと思います。笑いもあり、けんかもあり、いろんな事がある家庭であっても、いっしょに感謝し朝晩お陰様でと頭を下げるお佛壇がある。そんな人と人との『間』を大事にする『居間』を持ち、やすらかでおだやかな家庭を築いていきたいと思います。
宗祖親鸞聖人は、弘長2年11月28日(新暦1263年1月16日)、御年90歳にて、往生の素懐を遂げられました。いよいよ750回大遠忌の年をお迎えしたことです。『世のなか安穏なれ』とおおせになられました。「世のなか」とは広く言えば「世間」の事でしょう。その世間の中でまずは「夫婦・家族・家庭」そして「ご近所づきあい」から見つめて見てはいかがでしょうか。皆さん、安穏ですか?