今回は浅井成海監修「蓮如の手紙、お文・御文章現代語訳」をご紹介させていただきます。
月忌参りや法座などの形式は、蓮如上人の時代にすでにその萌芽がみられていたと言われています。すなわち御本尊、南無阿弥陀仏の尊前に座して、正信偈和讃を唱和し、法話を聴聞した後で、御文章を拝読させていただくという形式です。
ところで、ご承知のように御文章は、蓮如上人が46歳から84歳まで、生涯を通して繰り返し教化活動のために手紙の形式によりわかりやすく書き送られたものです。年代順にしたものが158通、さらに無年記類似文、消息文などを加えると言われています。
法座などでもっとも拝読されるのは、聖人一流章であると思われますが、この本の中では、次のような現代訳がほどこされております。
親鸞聖人から伝わっているみ教えは、信心をもってもっとも大切なこととされています。そのわけは、もろもろの雑行を行じる自力の心を投げ捨てて、ふたごごろなく阿弥陀さまの仰せに従うならば、人知でははかり知れぬ佛の本願力によって佛の方から人びとの往生を決定してくださるからです・・・以下略
また、肉親と別離の体験をもつものにとって忘れることのできない白骨章は、宗門の内外を問わず、多くの人々にとって名文と言われ、別離の悲しみを縁として、本願のみ教えを聞く道を明らかにしており、是非とも現代語訳とも照らし合わせて、拝読されてはいかがなものでしょうか。
さらに、この本での魅力のひとつは、何と言っても221通すべてに見出しをつけておることです。例えば前述の聖人一流章は「親鸞聖人の教えは信心第一」そして白骨章は「朝には紅顔、夕べには白骨」等々であります。