東日本大震災被災地支援視察旅行記

投稿日:2013年9月1日

住職 釋 了 正

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全国にある浄土真宗本願寺派の寺院は、京都の本山本願寺を中心に、各地方ごとに教区に組織され、その教区内で地域ごとに『組』に組み分けされています。
その『組』では近隣の寺院が集い、互いに協力し合いながら布教や教化伝道の活動を行っています。
わが眞願寺は、北海道教区(道内16の組からなる)の中で札幌組(札幌市と石狩管内の45ヶ寺)の一員として、各活動や取り組みに参加させていただいています。
その札幌組において、中心的な活動を「御同朋の社会を目指す運動(実践運動)」として委員会を組織し、『東日本大震災をはじめとする被災者への支援』を実践目標にかかげ、取り組んでいます。
この度はその取り組みの一環として、6月20日~21日、現地支援視察旅行に副委員長として参加してまいりました。
震災後2年半が過ぎようとしている今日、報道などでは復興の事業は進んでいるかのようには見えますが、各地域ごとにそれぞれの課題は山積し、被災者皆さんのご苦労は計り知ることは出来ません。そして特に福島県は、地震復興というより、東京電力福島第一原発の大事故による被害から、どうしたらいいのかという、復興どころか大きな壁に遮られている様な状況でした。

20日 13:00~14:30
専能寺様 宮城県仙台市宮城野区浦生字鍋沼

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熊本教区山鹿組ご一行と同じ時間に訪問する事となり、ご一緒に視察させていただいた。先ずは本堂で勤行の後、地震当日の事や津波の到達位置、そして荒れ果てた現状だったこと、その中で北海道の僧侶の方々をはじめ、多くの方々の支援をいただいて、なんとか地震後間もない4月13日の常例に間に合わせようと努力いただいたことや、その常例法座の模様など、ここまで復興してきた経緯の説明が住職よりあった。
本堂内陣など見学した後、広間で「おんこの架け橋」が制作したDVD を拝見し、お茶をいただきながら、懇談した。
 地震直後の墓地の状況はひどかったが、現在では倒れた墓石などの修復はほとんど終わった。一家10万円の改修費用を負担していただいたとのこと。
 門徒の方々の安否は把握できているが、現在でも仮設住宅に仮住まいしている方も多いらしく、今後は精神面のケアが必要になると感じているとのこと。
 住職も同じ教区内で震災の被害にあわれた寺院が多いと思うが、自分のお寺と門徒さんの事だけで精一杯で、他の現状などは知るよしもないとのこと。また、他の被災地などに行く気になれないと、自身の思いも話していただいた。(左上写真は津波到達地点をしめす)

20日 15:00~16:30
浄土真宗本願寺派「東北教区災害ボランティアセンター」仙台市青葉区支倉町 本願寺仙台別院内

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 震災より2年がたち、東北教区の現状を専従員の大下氏より聞く。当センターでは60名の宿泊が可能になっており、ボランティアを現在も募集している。作業等はその時によって異なるが、現在は名取市などの仮設住宅で、各家庭を訪問し傾聴活動や集会場などで『お茶会』を開催している。又、被災地のニーズにあわせた日帰り労働も行っている。
 ちょうど日帰り支援活動から帰られた方の情報をいただき、仮設の市場と旧小学校の体育館を訪問することとなる。
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(下写真、住職の上方には眞願寺より2年前に送られた子供の寄せ書きが掲示されていました。)

20日 16:30~17:00
名取市閖上小学校体育館

 誰もいない静かな学校の体育館に足を運んだ瞬間、2年前の震災直後の模様を思い起こさせられた。言葉が出ない。当時の報道を思い起こしつつ、何故このような状況がいまだにあるのか、想像すればするほど、被災された方々の悲しみと苦しみが、伝わってくるようだ。
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20日 17:30~18:30
名取市閖上さいかい市場

 遅い時間の訪問だったので、終わっているお店もあったが、被災者の方々の手作りポーチや、2年ぶりに再スタートできた酒蔵の吟醸酒を購入し、お店の方の大変なご苦労と、いまだに続く悲しい思いなど、聞かさせていただいた。本派の女性僧侶のCD が販売されていたので購入する。(三浦明利「被災地からのありがとう」¥500)4-1

21日 10:00~11:30
真行寺様 福島県二本松市竹田 NPO 法人TEAM 二本松

 原発より50キロにある二本松市は、避難対象区域外になるが放射線量の高いホットスポットとなった。しかし、事故当時避難する人もほとんどなく、安心していたが線量が高いことを後から知り、被爆してしまった子どもも多く、今後の発病が心配な状況だとのこと。
 佐々木氏はNPO 法人を立ち上げ、除染作業など、子どもを守る活動を行っている。お寺に隣接している幼稚園の園庭近くに線量測定器が設置されていた。隣接する家では除染作業が行われていないため、線量も高くドラム缶に水をはり、防御しているそうだ。
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21日 正午頃
浄土真宗本願寺派 福島県復興支援宗務事務所(福島県事務所)様 福島市五月町

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相馬組常福寺の廣畑氏が専従員として勤めている。常福寺は双葉郡浪江町で立入禁止区域の為、当事務所にて寺院活動をしている。
 相馬組は10ヶ寺中7ヶ寺が避難対象区域となり、現在も避難されている。今年の3月に行われた組の三回忌法要では、各地に避難されている門信徒に集まって頂く事は、経費がかかったが、いただいた支援金などをそこに使わさせていただいた。
 7ヶ寺中2ヶ寺がこの4月より許可された方のみ立入が認められたので、その一つ常福寺のボランティアに入っていただいた。大変有難かった。今後もお願いしたい。
 常福寺さんの門信徒はほぼ安否確認は出来ているが、寺院活動は各地に広がってしまった門信徒の方々をお参りするのも、移動だけで大変なようだ。
 (仮設住宅25%  借り上げ住宅70% 自己建設住宅5%) 借り上げ住宅とは県などが借り上げて仮設として入居されているとのことだが、そこには各地より送られてきた物資などは、届きにくくなっている。
 今後の見通しは中々ついていない。境内や本堂等の修復には資金が必要だが、本山などからの義援金はそのために使用させていただく予定だが、実現できるようになるかはわからない。
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写真は5月17日~19日常福寺様ボランティア作業の写真

21日(参拝)
康善寺様 福島県福島市五月町

地震直後の福島市の状況と当寺の被害状況を聞いた。地震の時には死を覚悟するほど揺れた。本堂など伽藍もいたんだが、地震保険に加入していたので、一応の復旧は出来た。門信徒の方々も、屋根の瓦が落ちるなど、被害も多かった。(康善寺様は、眞願寺と親戚寺院になります。)
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 訪問先の寺院などには、札幌組よりお見舞金(災害支援金)と支援物資(江別製粉さんの道産小麦の乾物商品など)を納めさせていただきました。
 今後の取り組みについては、第2回現地支援旅行を秋以降に企画し、福島県相馬組を中心とした支援活動を行いたいと考えています。そして組内の多くの方に協力していただけるよう準備を進めます。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

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