こんにちは!法務員の稲垣です! 皆さんいかがお過ごしですか?
ある団地の一室に一人で暮らしているおばあちゃんを訪ねました。もう長いことご主人の御命日に合わせ月忌参りを続けられ、お寺とはご縁が深いご門徒さんの一人です。耳が遠く、インターホンは聞こえないので玄関先で「すみませーん!
!お寺ですー!!」と叫ぶと、部屋の中から「入ってちょうだい」と良く響く声が返ってきました。
ある時、おばあちゃんは教えてくれました。「わたしがまだハタチのとき、真岡(樺太)から函館に引き揚げたときの船でね、あれは何日乗ってたか…うーん。忘れたけど、荷物なんかなくってね。狭い部屋でずーっとね。夜になるとね、船のなかがものすごく暗くてね。」と、記憶の中から当時の状況を語りだしたのです。「…それでね、夜さ。くらい部屋でなんかキラキラ光るんだわ。今でいうアクセサリーみたいなもんで、あっちにもこっちにもキラキラ、キレイだったの」。暗闇の中で光るもの…その正体はなんと『シラミ』だったそうです。
生きるか死ぬかの非常時で何日もお風呂に入れない極限状態。そんな状況で髪や衣服に湧いたシラミが、暗闇の船内で光輝いていた、とおばあちゃんが教えてくれました。あのときはとにかく必死だったからね…。そう語るおばあちゃんの目には、いまの世の中がどう映るのだろう…お話しを伺いながら、そんなことを思いました。
おばあちゃんは40 年前にご主人を亡くされています。月忌参りも長いご縁になりました。
「ケンカしたら布団を持って出てっちゃって、2 日後にはちゃんと帰ってくんだよ、あの人」生きている時はケンカばっかりだったけど、いまはお仏壇に話しかけているんだよ、アハハ。
照れながらおばあちゃんがコッソリ教えてくれました。